
買取の構成について
努力と才能による成功を賞賛すること、払ってきた犠牲を認めて、それを埋め合わせるだけの「特別な商品・サービス」を提供できること。
ニューリッチの新階層意識から生まれた「格付け」=クラシフィケーションを顕在化することからスタートしなければならない。
難しいのは、ニューリッチは皆が超お金持ちというわけではなく収入・資産レベルもまちまちであり、マス(大衆)の中に埋没している「ニューリッチ」を見出すのが困難なことである。
ニューリッチは常に最高級の商品・サービスを求めているかというとそうでもなく「手が届くレベル」のちょっとした贅沢でも満足する場合もあり、頃合いも難しいのだ。
これらについても以降言及していこう。
コミュニティやしかれているレール結論から一言、っと、ラグジュアリービジネスにおけるニューリッチの攻略の一つは「コミュニティの形成」である。
元来のお金持ちは生まれた時から「リッチのコミュニティ」に属して、成長するに従って新しい「リッチのコミュニティ」に所属していくことになる。
例えば親が金持ち、名家ばかりの有名私立幼稚園のコミュニティ、母親はみな外車で送り迎えをする英才教育塾のコミュニティ、とにかくおカネがかかる習い事や「茶道」といったお稽古事のコミュニティ、お嬢様が集うエスカレーター式名門女子校のコミュニティ。
男の子ならお坊ちゃまが集う名門男子校のコミュニティ、父親から薦められた海外留学やホームステイでのコミュニティ。
女の子は母親に伴われて百貨店の外商サロンや、行きつけの呉服店や宝石店のコミュニティに入り、男の子は一定の年齢になれば父親が所属するゴルフコースのメンバーになり、地域の二世経営者団体や経済団体のコミュニティに所属していくことになる。
一流といわれている多くの商品やサービスに触れ、その良し悪しを自分の五感で学んでいく。
リッチのコミュニティで、人とのつき合い方を学び、ネットワークを拡げていく。
ニューリッチはこういった「リッチなコミュニティ」に属していないことが多い。
なぜならニューリッチは、スタートは必ずしもリッチではなく、後天的・結果的にリッチになっただけであり、「リッチなコミュニティ」に所属するレールがしかれている訳ではないのだ。
もちろんニューリッチもこれまで何らかの多くのコミュニティには所属してきた。
地元の学校、大学のサークル、会社の同期、カルチャーセンター、子供の学校の親同士、町内会、それ以外にもたくさんあるだろう。
後天的・結果的にリッチになり、「自分たちは人より多少の経済的余裕があって、もっと「格上」の生活を楽しむことができる精神的余裕もある」といった新階層意識を持ったとき、今まで所属してきたコミュニティでは満足できなくなってくる。
大学時代の同期はみなコンパクトカーに乗っているが、自分は好業績で収入が倍増したからベンツを買おうと思っている。
カルチャーセンターの仲間はファーストフード店でお茶をするが、人の倍のお小遣いがある自分はシティホテルのラウンジで1杯1000円のコーヒーを飲んでリラックスしたい。
大学時代の友人は海外格安旅行に誘ってくれるけど、誰よりも早く管理職になって心身ともに疲れている自分は1泊5万円でもいいから都心の高級ホテルでゆっくりしたい。
そういった「格上」の生活を楽しもうと思ったときに、今までのコミュニティでは情報交換も価値観の共有もできない。
嫌味を言われ嫉妬されるのも因る。
ニューリッチの中には、「多少の経済的余裕はできたが、何におカネを使えばよいのか正直わからない。
一体どの商品・サービスが良いのかよくわからない」といったストレンジャーが多い。
近年台頭してきたニューリッチは孤立しているのである。
だからこそ、何百万円もする高級時計の雑誌の切抜きをショップの店員にいきなり差し出して「こられ下さい」と言ったり、インターネットで100万円のブランドバッグを実物も見ないで即買いしたりという、ニューリッチ独特の消費行動が見られる。
ラグジュアリーに慣れ親しんできた元来のお金持ちが衝動買いする行動とは違って、おカネの使い道、おカネの相談相手、ラグジュアリー商品・サービスに関する経験値が、根本的に「欠如」しているのである。
よってニューリッチを囲い込んで消費を促すには、ニューリッチのための「リッチなコミュニティ」を形成することが求められる。
同じように経済的余裕があり、「格上」の生活を楽しもうとする価値観も似ている、そんな仲間が集うコミュニティである。
ただ彼らは「名門ゴルフコースのメンバー」や「地元の経済団体」「伝統芸能のお稽古教室」といった上下関係のはっきりしたフォーマルなコミュニティを望んでいるわけではない。
もっとインフォーマルで、もっとフランクでありながら、新階層意識も十分に満たすコミュニティである。
ニューリッチのコミュニティで実現すべきキーワードとして、「インフォーマルな情報の交換」「リアルな評価」「ラグジュアリーの経験値」「適度なクローズ性」の四つをあげることができるだろう。
まず「インフォーマルな情報の交換」についてであるが、ニューリッチはマスメディアを通じてラグジユアリー商品・サービスについては既に多くの情報を入手している。
例えば「レクサスの1Sラインがお目見え」「Mンダリン・スパがオープン」といったニュースである。
もっと詳細な情報は車雑誌やレジャー雑誌に掲載されているが、「どんな媒体でも結局は同じような情報」であり、言い換えれば「誰でも知ることができるオープン情報」にすぎない。
たとえニューリッチでなくてもおカネさえ払えば誰でも買うことができ、利用することができる「大衆(マス)向けの商品・サービス」なのである。
新階層意識を持つニューリッチが求めているのは、「誰でも知ることができるオープン情報」ではなくて、「限られた人しか知らないインフォーマルな情報」であることだ。
まだ有名ではないが優れた腕を持つ料理人が独立してオープンした隠れ家的レストラン、1日3人しか予約のできない凄腕セラピストによるアロママッサージショップ、完全予約制のセレクトショップの存在など、マスメディアには大きく取り上げられない「知る人ぞ知る」インフォーマルな情報である。
その情報は自分が得意げに人に伝える以外は、他の人には知られたくないのだ。
次の「リアルな評価」とは、ラグジュアリーな商品・サービスを実際に体験・経験した人の生の感想や声である。
マスメディアで取り上げられる体験談や利用者の声からマイナス情報はそれほど浮かび上がってこない。
「最近話題の客単価3万円のレストランは本当にそれだけの価値があるのか?」「半年先まで週末は予約が一杯だという高級スパは本当にそんなに良いのか?」残念ながら「点」で存在するニューリッチのまわりには、リピーターはおろか体験者も存在していない。
ニューリッチが求めているのは、そういったリアルな声(良い声も悪い声も)が労力をかけずして入手できることである。
次の「ラグジュアリーの経験値」だが、ニューリッチに不足しているのはラグジュアリー経験である。
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